労務管理士の講習会に関して、新聞に折込チラシが入ってきたり、受講案内ハガキが頻繁に送られてきたりします。
1.労務管理士の資格は必要なものでしょうか。
2.労務管理士は社会保険労務士の仕事ができますか。
3.労務管理士とはどういうものですか。
4.労務管理士の活動に対して社会保険労務士会はどう対応しているのですか
5.労務管理士と社会保険労務士とはどこがどう違うのですか。

 『労務管理士』に関するお問い合わせや苦情が非常に多いためご回答いたします。
なお、今後、社会保険労務士のPRと併せて労務管理士との違いを周知していくよう、現在広報部で取り組んでいます。

1.労務管理士の資格取得は法律で義務付けられているか
 この資格は民間任意団体によるものであり、講習を受ける義務はありません。業として労働社会保険事務を行うために法律で取得の義務付けられている国家資格の社会保険労務士とは根本的に違うところです。

2.労務管理士の資格があれば、社会保険労務士の業務が行えるか
 できません。もし行えば、社会保険労務士法違反で罰せられます。ですから、この点に関しては、労務管理士は全くの一般人と同じ取り扱いということになります。

3.労務管理士の資格は正式のものなのか
 こちらでも正確にその実態を把握しているわけではありません。ちなみに、本会の会員の一人が、大阪と東京の法務局に当該団体の登記簿謄本の閲覧申請をしたところ、「該当法人なし」との回答がありました。

4.労務管理士に対して社会保険労務士会はどう対応しているか
 講習自体が目的であるなら、社会保険労務士法上は違法性もなく法的な問題はありません。しかし、今後、当該団体の活動が社会保険労務士に対する業務侵害に及んだ場合は、監察綱紀委員会を通じ、直ちに法的手段に訴えることはもちろん、そうでなくとも、当該団体の動向を注視するとともに、連合会へも申入れをする決意であります。
 
また、勧誘の方法によっては、詐欺罪や脅迫罪が成立しますので、そのような情報があれば、本会までお寄せください。

5.社会保険労務士と労務管理士との違いは何か
 一言で言えば、労務管理士は社会保険労務士のできる営業活動ができないということです。労働及び社会保険に関する分野で国が認める唯一の資格は社会保険労務士です。労働・社会保険の手続業務について報酬を得て行えるのは、法律により社会保険労務士だけとなっています。

 登録して労務管理士を名乗られるのはご自由ですが、労務管理士と称している無資格者は、社会保険労務士と違い、報酬を得て労働・社会保険の手続業務はできませんので、お間違いのないようご注意ください。
 事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資するため、社会保険労務士となる要件は、厳格に法律で規定されています。法律では、国家試験に合格しただけではなく、
2年以上の労働社会保険諸法令に関する実務経験が必要であり、さらに、所轄社会保険労務士会に入会しなければなりません。講習会を受けただけでもらえる資格とは、本質的に異なります。

【参考までに】労務管理士講習会後、次のような案内があるそうです。
*日本経営能力開発協会 資格認定審査機構
<
登録認可通知書 内容>
あなたは、平成○年○月○日、本協会が実施した労務管理士資格認定試験に合格されました。よって本協会資格認定規定第6条の定めるところにより労務管理士資格登録を認可します。就いては、平成○年○月○日(消印有効)までに登録手続きを行ってください。
<資格登録手続きについて>
 個人登録・・・試験合格者のみ登録
 事業所登録・・・試験合格者と事業内での推薦されるもの
 どちらか1つを選択し、登録することができます。
<
個人登録申請方法>
 専用封筒にて送付下さい。
 写真1枚
 登録費用 認定登録料 
58,000円(税込み)
 さらに、実際に受講された方のお話によると、受講後には、もっと受講料の高い上級コースへの勧誘があるそうです。

「労務管理士」に公正取引委員会が排除命令
平成19年6月15日、公正取引委員会は、株式会社日本経営経理指導協会(大阪府)が開設する「労務管理士特別認定講座」の受講者募集に係る広告の表示が、景品表示法第4条第1項第1号(優良誤認)の規定に違反するとして、同社に対して排除命令を行いました。